七草粥でおなじみの春の七草。
実は、その春の七草に対し、「秋の七草」というのもあるのです。
春の七草ほどは有名ではないようですが、秋の七草とは、どんな草花なのでしょうか?
春の七草のように、食べて楽しむのでしょうか?
今回は、秋の七草についてまとめてみました。
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秋の七草とは?
萩(はぎ)、桔梗(ききょう)、尾花(おばな)、撫子(なでしこ)、藤袴(ふじばかま)、葛(くず)、女郎花(おみなえし)の7つの花を、秋の七草と呼びます。
秋分(9月21日ごろ)の頃に咲きそろう秋の七草。
もともとは、奈良時代の歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)が万葉集において選定したのがはじまりです。
万葉集では、こう書かれています。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴
朝貌(あさがお)の花」
万葉集 山上憶良(やまのうえのおくら)
ちなみに、この中で「朝貌(あさがお)」というのは、夏によく見る朝顔ではなく、桔梗のことを指しています。
春の七草は、食べて無病息災を願うのに対し、秋の七草は眺めて楽しむものです。
したがって、春の七草のように七草粥にはしません。
けれど実際には、葛(くず)や藤袴(ふじばかま)など薬草として親しまれていたものもあります。
昔の人々は、植物を本当に生活の一部として捉えていたのですね。
秋の七草・それぞれの特徴と花言葉
萩(はぎ)
萩(はぎ)は七草のひとつですが、実は草花ではなく、マメ科の落葉低木です。
秋を彩る花の代表として古くから日本人に愛され、『万葉集』では140首以上詠まれました。
秋の彼岸に供える「おはぎ」はこの萩の花からきています。
【花言葉:思案】
桔梗(ききょう)
桔梗(ききょう)は紫色の星形の花を咲かせる、秋の代表的な花です。
『万葉集』で「朝顔」と呼ばれているのは、この桔梗のことだと言われています。
根は生薬としても用いられており、9月第三月曜日の敬老の日に贈ることもあります。
【花言葉:誠実】
尾花(おばな)
尾花(おばな)はススキのことです。
イネ科の植物で、稲穂のような形の先に白や赤、黄色の花を咲かせます。
昔は「茅(かや)」と呼ばれ、枯れてもなかなか折れない頑丈さから、屋根材に用いられていました。
『万葉集』でも多く詠まれている秋の草花の代表です。
【花言葉:活力】
撫子(なでしこ)
撫子(なでしこ)はピンク色の可憐な花を咲かせます。
日本女性を表す「大和撫子」の由来の花で、大伴家持が好んで歌に詠んだと言われています。
5枚の花びらはフリンジがついたような形をしているのが特徴です。
【花言葉:純愛】
女郎花(おみなえし)
女郎花(おみなえし)は8月〜10月に黄色い小さな花を咲かせます。
たおやかな美人に例えられ、『万葉集』で14首詠まれているほか、『源氏物語』にもよく登場します。
解熱、解毒作用のある生薬としても使われます。
【花言葉:美人、約束を守る】
葛(くず)
葛(くず)はつる性で、成長すると10mにまで伸びる強い植物です。
8月〜9月にかけて、穂のような形の部分に紫色の甘い香りの花を咲かせます。
根からとったでんぷんが葛粉で、くず餅や葛切りとしておなじみです。
根を煎じたものは発汗、鎮静作用のある生薬としても使われ、風邪や胃腸不良に古くから用いられてきました。漢方では「葛根湯」が有名ですね。
【花言葉:芯の強さ】
藤袴(ふじばかま)
藤袴(ふじばかま)は紫色の小さな房状の花を咲かせます。
香りが強く、平安貴族が衣服や髪につけていたと言われています。
利尿作用のある薬草としても用いられていました。
【花言葉:ためらい】
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覚え方
秋の七草の覚え方をいくつかご紹介します。
五・七・五・七・七のリズムで覚える
春の七草と同様、秋の七草も五・七・五・七・七のリズムで覚えることができます。
秋の七草を五・七・五のリズムで並べると、こうなります。
はぎ・ききょう (五音)
すすき・なでしこ (七音)
おみなえし (五音)
くず・ふじばかま (七音)
秋の七草 (七音)
この順番だと、短歌と同じリズムになるので、覚えやすいと思います。
「おすきな服は?」
秋の七草のラインナップはすでにご存知という方なら、頭文字で覚えると忘れません。
代表的な語呂合わせが「おすきな服は?」です。
「おすきなふくは」の7文字が、七草それぞれの頭文字になります。
お …おみなえし
す …すすき
き …ききょう
な …なでしこ
ふ …ふじばかま
く …くず
は …はぎ
「ハスキーなおふくろ」
もうひとつ、頭文字で覚える方法として、「ハスキーなおふくろ」というものもあります。
最後の「ろ」から始まる七草はないので、「ろ」は語呂合わせのおまけです。
は …はぎ
す …すすき
きー …ききょう
な …なでしこ
お …おみなえし
ふ …ふじばかま
く …くず
(ろ)
まとめ
秋の七草、いかがでしたか?
春の七草と違よりも、香りのよい、可憐な花が多いように感じます。
見た目で秋を感じる草花、というのも納得できますね。
漢方に使われているものも多いので、その薬効にも注目してみてもよいかもしれません。
以上、秋の七草についてまとめました。
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