旧暦では12月のことを「師走(しわす)」と呼びます。
「師」が「走る」と書きますが、いったいどんな状況を表した言葉なのでしょうか。
12月が「師走(しわす)」と呼ばれるようになった由来や、その他の呼び名、12月の時候の挨拶や風物詩について調べてみました。
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12月の別名「師走(しわす)」の由来と意味
「師」が「走る」と書いて、「師走(しわす)」。
現代では「師」といえば教師や師匠という意味ですが、「師走」の語源となった「師」は、僧侶、つまりお坊さんのことなのです。
旧暦で12月7日ごろ(今でいう1月16日ごろ)は「地獄の釜の開く日」と言われていました。お盆と同じく、昔はこの頃に僧侶を呼び、祖先の霊のためにお経を上げてもらったのです。
「師」である僧侶がお経をあげるために忙しく走り回る月=「師馳す(しはす)」「師走り月」という言葉が、「師走」となったと言われています。
それ以外にも、「年が果てる」意味の「年果つ(としはつ)」、「四季の果てる月」を意味する「四極(しはつ)」や「四季果つ」、「一年の最後になし終える」という意味の「為果つ(しはつ)」などが変化したという説がありますが、定かではありません。
「師馳す」が「師走」となったという説がもっとも有力だと考えられています。
12月のその他の別名
- 限月(かぎりのつき)
- 極月(ごくげつ・ごくづき)
- 暮来月(くれこつき・くれこづき)
- 暮れ古月(くれこづき)
- 年積月(としつみつき)
- 暮歳(ぼさい)
- 季冬(きとう)
- 晩冬(ばんとう)
- 梅初月(うめはつづき)
- 春待月(はるまちづき)
一年の終わり、最後であるという意味の別名が数多くあります。
また、旧暦では12月は冬の終わりです(だから1月は「迎春」)。なので「冬の終わり」を意味する「季冬(きとう)」、「晩冬」などの別名もあります。
冬が終わりを迎え、ゆったりと春を待つことから「春待月」、「梅初月」などの呼び名も。はんなりとした響きでとても素敵ですね。
12月の時候の挨拶
12月の時候の挨拶としては、次のようなものが使われます。
改まった挨拶
- 初冬の候
- 初雪の候
- 寒冷の候
- 霜寒の候
- 師走の候
- 歳末のみぎり
- 年の瀬もいよいよ押し詰まり
- 年内余日なく
例文
- 師走の候、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 年の瀬もいよいよ押し詰まり、皆様にはますますご壮健のことと拝察いたします。
親しい間柄への挨拶
- 師走を迎え、なにかと気忙しい毎日です。
- 寒さがひとしお身にしみる頃となりました。
- 本年も押し迫ってまいりましたが、いかがお過ごしですか。
- 今年もいよいよ残りわずかとなってまいりました。
- 木枯らしが吹きすさぶこの頃。
例文
- 師走を迎え、なにかと気忙しい毎日です。皆様お元気でいらっしゃいますか。
- 本年も押し迫ってまいりましたが、いかがお過ごしですか。
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12月の風物詩
大雪(たいせつ)
大雪(たいせつ)は二十四節気のひとつで、12月7日ごろにあたります。
文字通り「雪がいっそうはなはだしくなる」という意味で、ちょうど冬将軍が到来し、日本海側では雪が激しくなる時期です。
朝夕の池や川には氷が張り、スキーやスケートなど冬のスポーツが盛んになるのもこの頃です。
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冬の旧暦一覧(二十四節気七十二候)
お歳暮(おせいぼ)
「お歳暮」は、普段お世話になっている方や親戚などに、その年のお礼として品物を贈ることを言います。
もともとは、本家などが正月にお供えする品物(塩鮭・スルメ・数の子・干魚など)を、年末に各家が届けていた風習の名残りとも言われています。
お歳暮を送る時期は、以前は正月の準備に取り掛かる12月13日〜20日の「正月こと始め」の日までに贈るものとされていましたが、現在では12月初旬〜20日頃までに届くように贈るのが一般的です。
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お歳暮の時期と期間はいつ?贈り方のポイントとマナー
正月こと始め
「正月こと始め」は正月の準備を始める日のことで、12月13日にあたります。
12月の29日は「苦の日」、31日に用意した飾りや餅は「一夜飾り」「一夜餅」として避けられるので、正月の準備は「正月こと始め」から遅くとも28日までに済ませるのがよいとされています。
この時期、お寺や神社では竹竿の先に藁をくくりつけた「煤梵天(すすぼんてん)」と呼ばれる道具で「煤払い(すすばらい)」をします。大きなお寺や神社では、今でも巫女さんが並んで煤払いをする様子が見られます。
冬至(とうじ)
冬至(とうじ)は一年でもっとも昼が短く、最も夜が長い日で、12月22日ごろにあたります。
古来、中国ではこの日に太陽の力が復活すると考えられ、「一陽来復(いちようらいふく)」とも呼ばれています。
冬至の日は邪気を払うという意味で、かぼちゃ、小豆粥を食べたり、柚子湯に入る習わしがあります。
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冬至とは?なぜかぼちゃをたべ、柚子湯に入るの?
歳の市(としのいち)
「歳の市」とは、年末になると正月の飾り物や正月用品を売る市のことで、寺社の境内などに市がたち、正月の準備をする人でにぎわいます。
しめ縄飾りや羽子板をはじめ、裏白・水引などの飾り物、台所用品や雑貨類も売られており、新年を迎えるにあたって、正月飾りだけでなく家庭用品を買い換えることもできます。
東京では浅草の観音市が一番大きく、同じく浅草・浅草寺境内の羽子板市や、世田谷ボロ市なども有名です。
大晦日(おおみそか)
12月31日は「大晦日(おおみそか)」で、一年を締めくくり年神様を家に迎え入れる、一年でもっとも大切な日とされています。
大晦日には、「細く長く達者に暮らせるように」という意味で長寿と幸福を願い、年越しそばを食べる習慣があります。
また寺院では、108の煩悩を祓うという意味で、108回の「除夜の鐘」がつかれます。
まとめ
12月の別名の由来と風物詩、いかがでしたか。
一年の最後をしめくくり、新たな気持ちで新年を迎える準備をする12月。
お世話になった人に感謝をしながら、気持ちよく年神様を迎えたいですね。
以上、12月の別名の由来と風物詩をまとめました。
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