秋も深まる11月、旧暦ではいよいよ冬に入ります。旧暦を追ってみると、寒い冬であっても、自然が刻々と移り変わっているのが手にとるようにわかります。
二十四節気というのは、春分、夏至、秋分、冬至などを含めた旧暦の呼び方で、3週間ごとに区切って季節の変化を名付け、1年を24の暦に分けたものです。
七十二候というのはそれより更に細かく、二十四節気のそれぞれをさらに初候・次候・末候の3つに分けたものです。すべて合わせると1年で72の呼び名があります。
それでは、冬の旧暦を見ていきましょう。
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2019年・2020年・冬の旧暦一覧(二十四節気七十二候)
立冬(りっとう)
立冬とは、冬の気配が山にも里にも感じられてくるころのことです。木々の葉が落ち、風が冷たくなり、空気がいっそう澄んでいきます。
(新暦では11月7日〜16日ごろ)
*2019年立冬は11月8日
初候・山茶始めて開く(つばきはじめてひらく)
山茶(つばき)といいますが、山茶花(さざんか)のことです。山茶花の赤い花が咲き始めるころ。
(11月7日〜11月11日ごろ)
次候・地始めて凍る(ちはじめてこおる)
地が凍り始めるころです。土には霜が降りて池には氷が張り、冬の到来です。
(11月17日〜11月21日ごろ)
小雪(しょうせつ)
寒さが深まり、そろそろ雪が降り始めます。小雪の字の通り、まだ雪も寒さもそれほど深くありません。
(新暦では11月22日〜12月6日ごろ)
*2019年小雪は11月22日
初候・虹蔵れて見えず(にじかくれてみえず)
空気が乾燥し、虹を見かけることが少なくなる頃です。北陸では、冬季雷(とうきらい)という雷が増して来ます。
(11月22日〜11月26日ごろ)
次候・朔風葉を払う(さくふうはをはらう)
冷たい北風が木々の葉を払い落とすころです。朔風の朔は北という意味で、木枯らしのことです。
(11月27日〜12月1日)
末候・橘始めて黄なり(たちばなはじめてきなり)
橘の実がだんだん黄色くなってくるころ。橘の実は日本の柑橘系で唯一の野生種で、古くは古事記・日本書紀にも登場します。
(12月2日〜12月6日ごろ)
大雪(たいせつ)
いよいよ本格的に雪が降り出すころのことです。昔の日本人は美しい雪の結晶を、雪の花、銀花、立華などとよんで愛でました。雪の多い地方では、木が折れないための雪吊りや雪かきのシーズンです。
(新暦では12月7日〜20日ごろ)
*2019年大雪は12月7日
初候・閉寒く冬と成る(そらさむくふゆとなる)
天地の陽気がふさがり、真冬が訪れるころのことです。空は冷たい灰色の雲に覆われます。
(12月7日〜12月11日ごろ)
次候・熊穴に蟄る(くまあなにこもる)
熊が穴に入って冬ごもりをするころです。正月事始めはこのころです。
(12月12日〜12月15日ごろ)
末候・鱖魚群がる(さけむらがる)
海で育った鮭が群れをなして川を遡るころです。
(12月16日〜12月20日ごろ)
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冬至(とうじ)
冬至は一年でもっとも昼が短く、夜が長いころのことです。これから春に向かって日が伸びていくので、古来の東洋では「一陽来復」と言って全ての命がはじまるおめでたい日とされました。
(新暦では12月21日〜1月4日ごろ)
*2019年冬至は12月22日
初候・乃東生ず(なつかれくさしょうず)
夏至の初候にも登場した乃東(なつかれくさ)。冬至はこのうつぼぐさの芽が出てくるころです。
(12月21日〜12月25日ごろ)
次候・麋角解つる(しかのつのおつる)
大鹿の角が抜け落ちて生え変わるころです。
(12月26日〜12月30日ごろ)
末候・雪下麦を出だす(せっかむぎをいだす)
降り積もる雪の下で麦が芽を出すころです。
(12月31日〜1月4日ごろ)
小寒(しょうかん)
冬至をすぎると、一年でもっとも寒い時期がやってきます。その時期を「寒」といい、小寒に入ることを「寒の入り」といいます。小寒、大寒とありますが、実際には小寒のほうが寒く感じることも。
(新暦では1月5日〜19日ごろ)
*2020年小寒は1月6日
初候・芹乃栄う(せりさかう)
芹(せり)がすくすくと生えてくるころです。「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」の春の七草のシーズンです。
(1月5日〜1月9日ごろ)
次候・水泉動く(すいせんうごく)
地中で凍っていた泉の水が動き始めるころです。
(1月15日〜1月19日ごろ)
大寒(だいかん)
大寒とは、一年でもっとも寒さが厳しいころのことです。しかし日はだんだんと長くなり、春へ向かう時期でもあります。寒暖を繰り返すこの時期の気候を三寒四温といいます。
(新暦では1月20日〜2月3日ごろ)
*2020年大寒は1月20日
初候・款冬華さく(ふきのとうはなさく)
蕗の花が咲き始めるころです。凍てつく地の下で春の準備がはじまります。
(1月20日〜1月24日ごろ)
次候・水沢腹く堅し(みずさわあつくかたし)
沢の水が厚く張りつめるころ。日本の最低気温が観測される時期です。
(1月30日〜2月3日ごろ)
まとめ
2019年〜2020年の冬の旧暦の日をまとめると、
- 立冬(りっとう)・11月8日
- 小雪(しょうせつ)・11月22日
- 大雪(たいせつ)・12月7日
- 冬至(とうじ)・12月22日
- 小寒(しょうかん)・1月6日
- 大寒(だいかん)・1月20日
となります。
七十二候を見ていて驚くのは、寒い冬の間でも雪の下で麦や蕗のとうが芽吹いたり、氷の下でも泉の水が溶け始めたりと、春への準備が絶え間なく進められていることです。
一見何もなくなったように見える冬ですが、昔の人は雪の下の見えない自然の姿まで見ていたんですね。
旧暦を意識すると、冬もなんだかワクワクして過ごせそうですね。
以上、冬の旧暦一覧でした。
(参考文献)
2020年・春の旧暦一覧(二十四節気七十二候)
2020年・夏の旧暦一覧(二十四節気七十二候)
2019年・秋の旧暦一覧(二十四節気七十二候)
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