旧暦では4月のことを「卯月(うづき)」と呼びます。
十二支でうさぎを表す「卯」ですが、「卯月(うづき)」という名前と何か関係があるのでしょうか。
4月が「卯月(うづき)」と呼ばれるようになった由来や、その他の呼び名、4月の時候の挨拶や風物詩について調べてみました。
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4月の別名「卯月(うづき)」の由来と意味
旧暦では、「卯月(うづき)」は「卯(う)の花」が咲く頃で、「卯の花月(うのはなづき)」を略した呼び名と言われています。
卯の花は、別名「空木(うつぎ)」とも呼ばれる低木で、初夏に白い小さな花をたくさん咲かせます。古来から初夏のシンボルとして、和歌にも多く詠まれてきました。
それ以外の説としては、卯月(うづき)の「う」は「初(うい)」や「産(うぶ)」を意味することから、農耕の始まりを表しているともいわれています。
他にも、十二支の4番目が「卯」であるためという説や、苗を植える月の「植月」が転じたという説もありますが、いずれも定かではありません。
4月のその他の別名
- 卯花月(うのはなつき・うのはなづき)
- 鳥来月(とりくつき)
- 鳥待月(とりまちつき)
- 孟夏(もうか)
- 首夏(しゅか)
- 夏初月(なつはつき・なつはづき)
- 花残月(はなのこりづき)
- 木葉採月(このはとりづき)
- 植月(うえつき)
- 田植苗月(たうなへづき)
- 苗植月(なへうえづき)
意外にも「夏」という字が目立つのは、旧暦での4月が春の最後の月だからです。
なので、「夏のはじめ」という意味の「孟夏(もうか)」や「首夏(しゅか)」、あるいは「夏初月(なつはづき)」という呼び名があります。
田植えを始める季節なので、「植月(うえつき)」「苗植月(なへうえづき)」とも言われています。
4月の時候の挨拶
4月の時候の挨拶としては、次のようなものが使われます。
改まった挨拶
- 春日の候
- 春風の候
- 桜花の候
- 花冷えの候
- 春爛漫の候
- 陽春の候
- 仲春の候
- 春粧のみぎり
- うららかな好季節を迎え
- 春たけなわ
- 花曇りの昨今
- 若葉萌えいづる頃
例文
- 桜花の候、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 若葉萌えいづる頃、皆様にはますますご壮健のことと拝察いたします。
親しい間柄への挨拶
- 花便りも伝わる今日この頃
- 若葉の緑が目にも鮮やかなこの頃
- うららかな春の訪れとなりました。
- すっかり春らしい暖かい気候になりました。
- 吹く風も柔らかな季節となりました。
- うららかな春の日差しが心地よい季節となりました。
例文
- うららかな春の訪れとなりました。みなさまお元気でいらっしゃいますか。
- すっかり春らしい暖かい気候になりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
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4月の風物詩
花見
一説によると奈良時代からあったという花見の習慣。平安時代には「花苑(かえん)」と呼ばれ、宮中の定例行事とされました。
その後江戸時代には将軍の命により、江戸に次々と桜の名所がつくられました。上野の山や、小金井堤がそれです。
現代には天然記念物とされた5つの桜の木(三春滝桜・山高神代桜・根尾谷薄墨桜石戸蒲桜・狩り宿の下馬桜)を「日本五大桜」と呼んでいます。
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野遊び・磯遊び
現在は行楽の意味合いが強くなっていますが、昔から農業や漁業が忙しくなる前に、春の一日を物忌み(心身を清め不浄を避けること)にあてる習わしがありました。
この日は野草や野花を手で摘んだり(野遊び)、潮干狩りに出かける(磯遊び)などで過ごし、田の神様や海の神様を招く意味で食事の宴を開きます。
清明(せいめい)
「清明(せいめい)」は二十四節気のひとつで、4月5日ごろにあたります。大地に緑が溢れ、生き物たちの輝きが満ちるころです。
「清明(せいめい)」とは中国では日本のお盆にあたる行事で、この日に祖先の墓を詣る習わしがありました。
沖縄県では「シーミー」と呼び、中国と同じく祖先を供養するとともに、「清明祭」が行われます。
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花まつり(灌仏会・仏生会)
「花まつり」は、仏教の始祖であるお釈迦様が誕生した日をお祝いする行事で、正式には「灌仏会(かんぶつえ)」、「仏生会(ぶっしょうえ)」と呼ばれます。
4月8日をお釈迦様の誕生日とし、当日は各寺院に花で飾った小さなお堂「花御堂(はなみどう)」が設けられ、その中央にお釈迦様の像が配置されます。
参拝者はそのお釈迦様の像に柄杓で甘茶をかけ、自分も甘茶を飲んで無病息災を祈ります。
十三詣り(じゅうさんまいり)
「十三詣り(じゅうさんまいり)」は、4月13日に数え年で13歳になる子供が、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)を祀る寺に参詣し、福徳や知恵を授かる行事です。
参詣のあとには、せっかく授かった知恵を虚空蔵菩薩に返してしまわないように、うしろを振り向いてはいけないと言われています。
穀雨(こくう)
「穀雨(こくう)」は二十四節気のひとつで、4月20日ごろにあたります。
田畑の準備がととのい、穀物を育てる恵みの雨がふるころ、という意味があります。
春の最後の節気で、これが過ぎると八十八夜を迎え、次第に初夏の気配が感じられるようになります。
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まとめ
4月の別名の由来と風物詩、いかがでしたか。
野の花や桜が咲き、春爛漫の季節。しかし旧暦ではもう夏のはじめ、ということに少し驚きます。
けれどここ数年は、ゴールデンウィークあたりには初夏のような陽気になることもしばしば。
過ぎていく春を惜しみつつ、初夏の気配も少しずつ感じたいですね。
以上、4月の別名の由来と風物詩をまとめました。
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